Tomoyuki Ueno 《 神戸の森 2023年9月 #2 》
¥100,000
tree branch, brass ring
113 × 68 × 10cm
2023
*作品は展覧会後12月以降の出荷になります
Artworks will be shipped after exhibition
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芸術と日常はどう接続することが可能なのか。
2020年のパンデミック中、 私は山奥に1ヶ月間滞在した。誰もいない山を一人散策していると、自分は無数に存在する生命の一つでしかないと感じた。そして同時に、そもそも死などないのではないか、ここで死ねば土に還り、引き続き生命が循環する山の一部のままなのではないかと思った。それは街中で感じる死の意識とは全く違う。枯れ枝は生命と土との中間にある。そこで私は枝を集めて繋ぎ合わせる事にした。
枯れ枝による繰り返しのパターンは朽ちていくことと同時に、生命の連なりや、関係を連想させるだろう。森が一本一本の木から構成されているように、その木も一本一本の枝や細胞から構成されているように、繰り返されるパターンにはこの世を構成する普遍性があると言える。この作品はその土地で集めた様々枝から成り立ち、この作品自体がその土地の植生や森を表している。
これまで素材をお店やオンラインで購入していたことに対し、この制作は自分の体を使って自然の中から発見・採取し、生きることと制作することが一致した感覚を覚えた。一般的に販売されている素材は制作しやすいように加工されている。クリエイティブなのはそれを利用する側ではなかったのかもしれない。自然の中に芸術を見出せたときに、芸術は生活の一部になり得るのではないだろうか。
日本は古来から自然を信仰してきた。古い神道は、森林や森林に覆われた土地、山岳・巨石や海や河川など自然そのものが信仰の対象になっている。
一方、西洋ではどうか。聖書をたどると、アブラハムは木の下に祭壇を築いたとある(創世記、 13・18)。また、イエスは神の国を「からし種」に例えて説明し、それを「捲くと、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張る」と説いた(マルコ、4・30-32)。このように、天上と至聖所、すなわち聖堂を樹木などの植物の比喩を介して関連付ける記述が散見する。樹木を模したゴシック教会が造られた所以である。
芸術は自然と宗教の間で発展し、生と死を表してきた。
上野友幸 | Tomoyuki Ueno
Born in 1982, Kobe Japan. Since 2009 Ueno lives in Berlin and Kobe. Ueno has been invited to show his works internationally, Print Art Triennale 2016 at Kyoto Municipal Museum of Art as well as 6th Moscow International Biennale for Young Art in 2018, VOCA at Ueno Royal Museum in 2023.
東京芸術大学大学院を修了後、2009年からベルリンと神戸を拠点に国内外で活動。DAAD(ドイツ学術交流会)奨学生、ポーラ美術振興財団在外研修員としてベルリン芸術大学を修了し、2017年よりクンストラーハウス・ベタニエンにて一年間のレジデンスに参加。2018年にはモスクワ・ビエンナーレ・フォー・ヤングアートに、2023年にはVOCA展に選出され、2024年はギャラリー住吉橋(堺)とGalerie Martin Mertens (ベルリン) で個展を開催している。
https://www.tomoyukiueno.com/